機能性肥料とは通常、肥効の効率を上げるための被覆肥料・緩効性肥料・硝酸化成抑制材入り肥料などや、労力削減のための農薬肥料や流し込み肥料など総称して呼ばれています。
平成15年度の農林水産省 農業生産資材総合対策事業の補助金対象の中では、葉面散布用肥料も “使用量を削減できる” という意味で「機能性肥料」として扱われています。
ヤワラは、肥料原料として硝酸カルシウムを含有し、また肥料の材料(展着促進材)として多糖類のトレハロースと特殊な界面活性剤2種が添加されています。この3種の成分が相まって、さまざまな “機能” を発揮します。それらが織り成す「多機能性」がいろいろな場面で確認されるようになってきました。
例えば、ある農協店舗で切花を入れたバケツにヤワラをちょっと入れてみたら、“えらく日持ちが良くなった” とか、菊花展出品用の菊に定期散布していたら “真夏でも葉焼けしなかった” など、私たちが意図しなかった場面でも「多機能性」が発揮されています。
私たちは、通常の肥料の概念にはない、栄養補給以外の植物にとって有意義な効能(機能)を併せ持った肥料を「多機能性肥料」と呼んでいます。
弊社で、別の試験目的でトマト苗に2回ヤワラを散布したところ、そこだけ葉かび病の病斑数が減ったのです。
まさか? と思いよく調べてみたところ、元肥を入れずに小さなポットの中で栄養失調状態のトマト苗に葉かび病が蔓延し、ヤワラで元気を取り戻した苗では、葉かび病の発生が少なかったのです。
まさに、病害発生の3要因(主因・素因・誘因)の誘因を直すことで発生を抑えられることを実証した例でした。
ヤワラに殺菌力があった訳ではなかったのです。
無処理
ヤワラ散布
無処理
ヤワラ散布
葉かび病は、栄養失調状態で発生・蔓延するケースが極めて高く、このケースでは元肥のほぼない状態での栽培だったため、このような現象が現れたものと考えられます。
① トマトの葉かび病は、よくいわれるように栄養失調状態で蔓延していく可能性が極めて高い。
② 病気の蔓延を防ぐには殺菌することだけを考えるのではなく、発病しやすい植物の状態を改善することが重要。
(栄養失調状態の改善)→ 例: 殺菌剤 + ヤワラの混用散布
- ご注意 -
ヤワラは農薬ではありませんので、殺菌剤として使用することはできません。もちろん殺菌能力もありません。
カルシウム・窒素の補給効果はもちろん、乾燥や低温障害軽減効果を含め、現在まで確認されている “機能” は「ヤワラ」の持つ潜在能力の一部であり、未確認の活躍分野が控えているような気がします。
このような能力を併せ持つ肥料は、「多機能性肥料」と称して特別に扱ってもよいのではないでしょうか。
そして、それら未確認の “多機能性” は、使用者である皆様の思いつきと工夫とニーズの深さの中からも、一つひとつ発見されていくことでしょう。
フリー百科事典「ウィキペディア (Wikipedia)」によると、
“ヤワラちゃん(谷 亮子さん)の技はもともと背負い投げがメインだったが、内股・体落とし・掬い投げ・肩車・小外刈りなどを得意技として編み出し、その技の多さが一つの武器となっている”
のだそうです。
どうでしょう? まさに「ヤワラ」は “多機能性” ではないでしょうか?