地球上に存在するほぼすべての生命エネルギーの源は、太陽から放たれる光エネルギーです。
しかし、ヒトは光エネルギーをそのまま栄養素として利用することはできませんので、食べ物でエネルギーを補給しています。動植物の炭水化物や脂肪などがヒトにとってのエネルギー源となり、ヒトが食している動物も、光エネルギーをそのまま生命維持のためのエネルギーとして利用することはできませんので、他で補給するしかありません。
では、そのエネルギー源は誰が創っているのでしょう? そうです植物なのです。
植物は、光合成で光エネルギーを有機物(ブドウ糖)に変換し、自らのエネルギー源、もしくは動物達のエネルギー源として蓄えることができます。言い換えると、光合成は光エネルギーを自分、もしくは他人が利用しやすい化学エネルギーの缶詰(有機物)にして蓄えることなのです。
※ 植物は、動物のためにエネルギーを蓄えているわけではありませんが
しかし、植物が光合成によってエネルギーを蓄える能力を持っていても、肝心な光エネルギーが曇天により遮られては、その能力を発揮することができません。
太陽の直射日光の強さは、一般的に 1,800〜2,000 µmol/m²/s 程度あります。
それに比べ、曇天時の光の強さは 100 µmol/m²/s 程度だといわれ、約20分の1ほどしかありません。
植物が通常生育していくには、イネなどで 800 µmol/ m²/s くらいの光、普通野菜のキュウリやトマトなどでは、200 µmol/m²/s くらいの光が必要です。
曇天(日照不足)が1〜2日くらいでは生育に問題を起こすことはありませんが、3日以上曇天(日照不足)が続くと植物にとって必要な光が不足してしまい生育に影響を与えてしまいます*。
* 植物の中には、20 µmol/m²/s 程度で充分に育ち、光が強すぎると逆に障害となってしまうものもあります。
「アグリボ3」は、このような状況で起こる生育不良や障害を想定し、それを予防・改善することを目的に開発された製品です。曇天(日照不足)が続いた後の生育回復にも効果的ですが、“曇天(日照不足)が3日続くと予想される前の使用” がもっとも効果的です。
生育不良や障害を最低限に抑え、天気が回復した際にいち早く生育回復できるようになります。
■ 目的
日照量を制限した条件下で、定期的にアグリボ3を鉢上げした花苗に散布し、
花芽分化・開花に与える効果を確認する。
■ 処理内容
※ 散布に際して、散布液がなるべく土壌にかからないように茎葉に十分噴霧。
平均草丈 | 248mm |
---|---|
蕾数 | 36 |
開花数 | 13 |
落花数 | 1 |
総花芽数 | 50 |
平均草丈 | 263mm |
---|---|
蕾数 | 44.5 |
開花数 | 18.5 |
落花数 | 10 |
総花芽数 | 73 |
■ 結果
② 総花芽(蕾・開花・落花)数が増え花芽分化が促進された。
さらに開花済み花芽(開花・落花)数も増え、開花が早まったことも確認できた。
③ 落花と蕾の数が多いことから、開花開始が早く終花が遅くなる。
つまり開花期間が拡大されることがわかった。
■ 結論
日照不足条件下でも「アグリボ3」を定期散布すると、地上部の生育が促進される。
さらに総花芽数も増大させ開花開始時期を早め、開花期間も拡大できる。
“陽性植物” のペチュニアでは、「アグリボ3」の光触媒の効果(日照量が少ない時の光合成能力強化)を確認できたが、日照量をそれほど必要としない “陰性植物” ではどうなんでしょうか?
陰性植物のインパチェンスで、早速試験してみました !!
■ 処理内容
上記ペチュニアの試験と同様に、
日照不足環境をつくり「アグリボ3」3,000倍を定期散布する。
対照として「アグリボEX」の1,000倍区と無処理区を設定。
■ 結果
無処理区に比べ、アグリボ3とアグリボEXで総花芽数が増えた。
しかし、アグリボ3とアグリボEXの間では差が見られなかった。
■ 結論
アグリボ3とアグリボEXは、
継続的な散布で、陰性植物でも総花芽数を増大させ、開花開始時期を早める効果がある。
しかし『アグリボ3 = 光触媒機能あり』と『アグリボEX = 光触媒機能なし』とで比べると、
① 陰性植物(インパチェンス)による試験では、総花芽数の差があまり見られない。
② 陽性植物(ペチュニア)による試験では、アグリボ3の方が総花芽数が明らかに増大した。
以上のことから、
「アグリボ3」の “光触媒機能” による花芽誘導促進効果は、陽性植物では発揮されるが、もともと日照量をそれ程必要としない陰性植物では発揮されにくいと考えられる。