ヤワラを1〜2回葉面散布したそら豆幼苗(9cm径ポリポット)を低温にさらし、
ヤワラの低温障害軽減効果を確認する。
試験番号 | 薬剤 | 希釈倍率 | 散布時期 | 低温処理 |
---|---|---|---|---|
① | ヤワラ | x500 | 低温処理5日前 | ◯ |
② | 低温処理2日前 | ◯ | ||
③ | 低温処理5日前・2日前 / 計2回 | ◯ | ||
④ | ヤワラ | x1,000 | 低温処理5日前 | ◯ |
⑤ | 低温処理2日前 | ◯ | ||
⑥ | 低温処理5日前・2日前 / 計2回 | ◯ | ||
⑦ | S剤 | x200 | 低温処理5日前 | ◯ |
⑧ | 低温処理2日前 | ◯ | ||
⑨ | 低温処理5日前・2日前 / 計2回 | ◯ | ||
⑩ | 無散布 | ◯ | ||
⑪ | 無散布 | 無 |
※ 試験番号⑪は、低温処理をせず全試験期間中温室内加温マット上(気温15〜25℃)で管理
※ 対照薬剤として市販の霜害対策製品S剤を使用
そら豆の4葉期前後に、各薬剤を茎葉に十分散布する。
ポットを温室外日陰の高さ約1mの木製パレット上に放置し、最終薬剤処理2日後より0℃前後の低温に3日間(延べ65時間)さらし、その間灌水をしない。
低温処理終了の約1週間後(02/15)に、葉縁の変色・茎下部の変色・茎葉のしおれ〜乾燥・根の変色について各植物体ごとに以下の5段階の度数に従って調査。
低温処理終了の約2週間後(02/22)に、
被験植物を地際で切り取り、各試験区の茎葉重を測定する。
上記サンプルの根を水で洗浄して異物を除去し、
数日間風乾した後に秤量し、各試験区の根重とする。
◆ 02/04 11:00 〜 02/05 11:00 最低気温:-8.0℃ / 最高気温:0℃ / 降雪:0.5cm
◆ 02/05 11:00 〜 02/06 09:00 最低気温:-6.5℃ / 最高気温:2℃ / 降雪:0.0cm
◆ 02/06 15:00 〜 02/07 10:00 最低気温:-1.0℃ / 最高気温:7℃ / 降雪:1.0cm
※ 低温処理期間のポット中の土壌は、ほぼ凍結している状況であった。
試験番号 | 障害程度 [4:極大 > 0:無] | 低温障害軽減指数 ※ |
茎葉重 [生] | 根重 [風乾] | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
葉縁の変色 | 茎下部の変色 | 茎葉の萎れ〜乾燥 | 根の変色 | 平均 | 重さ (g) |
対無低温処理区 (%) |
重さ (g) |
対無低温処理区 (%) |
||
① | 0.8 | 0.5 | 0.3 | 1.5 | 0.8 | 80.2 | 48 | 88.9 | 3.71 | 82.6 |
② | 0.3 | 0.3 | 0.3 | 1.7 | 0.7 | 83.5 | 43 | 79.6 | 3.06 | 68.1 |
③ | 0.5 | 0.3 | 0.7 | 1.2 | 0.7 | 83.5 | 41 | 75.9 | 2.94 | 65.5 |
④ | 2.3 | 2.2 | 2.3 | 3.3 | 2.5 | 34.1 | 23 | 42.6 | 1.00 | 22.2 |
⑤ | 3.2 | 2.2 | 2.7 | 3.3 | 2.8 | 26.4 | 12 | 22.2 | 0.93 | 20.8 |
⑥ | 2.0 | 2.0 | 2.5 | 3.2 | 2.4 | 37.4 | 19 | 35.2 | 1.64 | 36.6 |
⑦ | 1.8 | 2.3 | 2.2 | 3.2 | 2.4 | 38.5 | 28 | 51.9 | 1.87 | 41.7 |
⑧ | 2.8 | 2.8 | 3.0 | 3.3 | 3.0 | 22.0 | 15 | 27.8 | 0.99 | 21.9 |
⑨ | 2.0 | 1.8 | 2.2 | 2.8 | 2.2 | 42.9 | 24 | 44.4 | 1.98 | 44.2 |
⑩ | 4.0 | 3.2 | 4.0 | 4.0 | 3.8 | 1.1 | 7 | 13.0 | 0.51 | 11.3 |
⑪ | 0.17 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.04 | 100.0 | 54 | 100.0 | 4.49 | 100.0 |
※ 低温障害軽減指数
{1 - (当該区障害程度 - ⑪ “完全無処理” 障害程度) ÷ ⑩ “薬剤無散布・低温処理” 障害程度} × 100
▶ 処理内容の詳細は、2. 試験方法の “ⅰ. 試験区設定” を参照してください。
試験区⑪(薬剤処理なし / 低温処理なし)と、当該区の低温障害軽減指数・茎葉重および根重を比較し、各薬剤の低温障害軽減効果について検討した。
■ 低温処理開始の5日前、または2日前の1回散布処理、5日前・2日前の2回散布処理で、いずれも80以上の高い低温障害軽減指数が認められた。
■ 試験区⑪に比べ、約10〜25%の茎葉重減少が見られたが、低温処理期間中の日照不足を伴う生育遅滞を考慮すれば、地上部に対して十分実用的な低温障害軽減効果といえる。
■ 地下部については、根重(風乾)の試験区⑪対比で見ると、低温処理期間中に土壌がほとんど凍結していたためか、茎葉部より低温の障害程度は大きかった。しかしながら、低温処理中は無灌水だったことと、根の変色度(画像参照)から判断して、実用上は十分問題ないレベルまで障害が軽減できているものと考えられる。
■ 散布処理する時期や回数の違いで、低温障害軽減効果に大きな差がでなかったことから、ヤワラ 500倍希釈液の1回葉面散布で、本試験レベルの低温負荷に対しては十分な効果があったと考えられる。
■ 試験区①において、散布後5日目から8日目まで低温処理されながら低温障害軽減効果が認められたことから、散布から少なくとも1週間は持続性があると判断できる。
■ 試験区②において、低温処理開始の2日前の散布で効果が認められたことから、散布後2日以内の効果発現が可能(速効性がある)と判断できる。
■ 各散布処理時期・回数で、低温障害軽減指数・茎葉重および根重の維持とともに明らかに不十分であり、本希釈濃度では効果が不十分と考えられる。
■ 低温処理開始2日前の1回散布では、低温障害軽減効果が不十分であった。
これは、十分な量の成分が吸収されなかったためと解釈できる。
■ 低温処理開始の5日前1回散布、5日前・2日前の2回散布で、中庸な低温障害軽減効果を示したが、ヤワラ 500倍希釈の1〜2回散布に比べ、明らかに効果不足と判断される。
ヤワラの500倍希釈液を1〜2回散布することで、そら豆の -8℃〜+7℃ 延べ65時間程度の低温による障害を大きく軽減することが確認された。
その低温障害軽減効果の持続性は、散布より最低1週間、速効性については散布から効果発現まで2日以内と判断される。
この結果から、
凍霜害が予想される5日前あたりから、ヤワラ500倍希釈液を2回散布するのがもっとも効果的だと考えます。
詳しくはアグリボ製品の作物別ご使用方法 “アグリボこよみ” をご覧ください。
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