アグリボEXをにんじんの生育期に葉面散布し、根部(可食部)の肥大効果と裂根などの品質に与える影響を確認する。
「向陽2号」を 1/5000a用ワグネルポットで2本栽培し、本葉4葉期以降、アグリボEXを連続葉面散布処理し、収穫時の品質を調査する。
黒土1kg当たり、化成肥料 (N · P · K = 8 · 8 · 8) を4g、溶リン (P20%) を0.8g施用。
(N · P · Kとして各々320mg · 480mg · 320mgに相当)
区番号 | 薬剤および希釈倍率 | 葉面散布処理時期(播種後日数) | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
1回目 (65日) |
2回目 (72日) |
3回目 (82日) |
4回目 (89日) |
|||
アグリボ EX |
展着剤 または ヤワラ |
葉令 4.0-6.5 |
葉令 4.5-7.5 |
葉令 5.0-8.0 |
葉令 5.0-8.0 |
|
平均5.3 | 平均5.6 | 平均6.0 | 平均6.5 | |||
① | 1,000倍 | 展着剤A 1,000倍 |
◯ | ◯ | ||
② | ◯ | ◯ | ||||
③ | ◯ | ◯ | ||||
④ | ◯ | ◯ | ◯ | |||
⑤ | ◯ | ◯ | ◯ | |||
⑥ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ||
⑦ | ヤワラ 1,000倍 |
◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
⑧ | - | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
⑨ | 500倍 | ヤワラ 1,000倍 |
◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
⑩ | 無処理 | - | - | - | - |
播種111日後に採取し、根(可食部分)の長さ、最大径および生重を調査。
区番号 | 根長 | 根最大径 | 根生重 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
平均 (mm) | 標準偏差 | 平均 (mm) | 標準偏差 | 平均 (g) | 標準偏差 | |
① | 61.0 | 6.557 | 17.0 | 1.539 | 10.0 | 1.915 |
② | 61.3 | 12.118 | 18.7 | 1.743 | 11.7 | 3.300 |
③ | 62.7 | 7.739 | 17.1 | 2.492 | 10.3 | 3.145 |
④ | 64.3 | 7.134 | 17.4 | 0.848 | 10.3 | 1.247 |
⑤ | 62.3 | 9.086 | 16.6 | 1.610 | 10.0 | 2.309 |
⑥ | 60.7 | 4.534 | 16.2 | 0.689 | 8.2 | 0.898 |
⑦ | 66.2 | 8.214 | 16.6 | 0.474 | 9.7 | 0.943 |
⑧ | 61.3 | 5.617 | 15.2 | 2.235 | 8.8 | 3.131 |
⑨ | 53.8 | 3.897 | 15.3 | 0.864 | 7.0 | 0.707 |
⑩ | 58.3 | 5.249 | 15.9 | 1.080 | 8.8 | 1.344 |
※ 標準偏差(σ): 測定値のばらつきの度合いを表す数値。小さいほどばらつきが少ない。
(1) 展着剤A+アグリボEX 1,000倍の7〜10日間隔おき2〜3回の葉面散布(試験区①〜⑤)で、無処理(試験区⑩)に比べ根長・根径・根重の促進が見られた。また、散布回数が多いほど(3回散布)、早期から散布を始めるほど、根径・根重値の標準偏差が小さくなり、“揃いが良くなる” 傾向が見られた。もっとも等級が安定する結果となったのは、早期からの3回連続散布(試験区④)であった。
(2) アグリボEX 1,000倍の4回散布(試験区⑥〜⑧)では、2〜3回散布に比べ根径・根重の低下が見られた。また、アグリボEX 500倍+ヤワラ 1,000倍散布(試験区⑨)では、アグリボEX1,000倍+ヤワラ1,000倍散布(試験区⑦)に比べ、根長・根径・根重のすべてにおいて抑制された。どちらもアグリボEXの処理圧が過剰であったと判断される。
(3) ヤワラ 1,000倍+アグリボEX 1,000倍の4回散布(試験区⑦)の生育は、展着剤無加用(試験区⑧)に比べ優れ、展着剤A加用(試験区⑥)に比べても同等以上であり、ヤワラは十分な展着促進効果を有すると考えられる。
(4) 全試験区で裂根・曲がりなどの異常はほとんど見られず、4〜8葉程度の時期のアグリボEX散布では問題が生じないと考えられる。
根長 (mm) | 62.7 | σ=7.739 |
---|---|---|
根径 (mm) | 17.1 | σ=2.492 |
根生重 (g) | 10.3 | σ=3.145 |
根長 (mm) | 64.3 | σ=7.134 |
---|---|---|
根径 (mm) | 17.4 | σ=0.848 |
根生重 (g) | 10.3 | σ=1.247 |
生育初期の4葉期から、アグリボEX 1,000倍希釈液を、7〜10日間隔で3回程度葉面散布することにより、等級の揃った良質なにんじんの肥大・増収が図れる。また、ヤワラの1,000倍希釈相当の加用も効果的である。
詳しくはアグリボ製品の作物別ご使用方法 “アグリボこよみ” をご覧ください。
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