vol.02
“苗半作” という言葉があるように、水稲に限らず育苗の重要性が唱えられてきましたが、この言葉だけが一人歩きして、苗作りの重要性が本当の意味で理解されていない気がしています。
決して軽視しているとは思いませんが…
筆者である私も「苗半作といわれるくらいですから育苗は大切ですよ」と、20年近くお客様に話し続けてきたものの、天候が安定している年などは、苗作りで多少失敗しても天候次第で挽回できるケースも見てきました。
そのため、「苗半作ってホント?」と疑問すら持つようになっていました。
しかし、2010年の2月〜4月の低温・降雪・日照不足、夏場の猛暑、秋の日照不足。そして、冬の低温・降雪・日照不足と、農作物にとって厳しい環境の一年でした。その結果、あらゆる作物の収穫量が激減し、野菜類を中心とした農作物の価格が高騰する結果となりました。
そんな中でも、苗〜定植初期を順調に生育した作物は環境の変化に強く、たとえ生育が悪くなったとしても回復が早いなど、よい苗で初期生育が良好な作物は、悪天候の中でも順調な生育をしていました。
最悪の生育環境だったからこそ “苗半作” が実証された一年であったような気がします。
農業にもっとも重要な “その年の天候” を予測することは、科学の発達した現代でも困難です。
だからこそ “苗半作” という言葉をあらためて見直してみてはいかがでしょうか?
苗〜定植初期を順調に生育したイチゴ
葉も大きく葉肉が厚い
苗から調子が悪く定植後に炭そ病発症
そのうえ葉が小さくて葉肉も薄い
育苗期は、作物の葉面積・根圏などが小さいので、液肥や農薬、資材等の施使用量が少なくて済み、低コストで使用することが出来ます。
10a当たり5,000本の苗を植え付ける
植付け本数 5,000本 ÷ 200穴セルトレイ = セルトレイ 25枚
↓
セルトレイ1枚当たりの灌水散布量が約300ml X 25枚 = 灌水散布量 7.5L
↓
7.5L ÷ アグリボEX 500倍※1 希釈 = アグリボEX 15ml
※1 育苗期は、アグリボEXの500倍希釈使用をお奨めしています。
↓
アグリボEX 15ml = 約105円※2
↓
1回の散布コストは約105円※2
↓
弊社でお奨めしている “3回散布” でも、
使用コストは10a相当で315円※2 程度になります。
※2 標準的な小売価格(2011年)から計算しております。
さらに、定植後の初期生育も非常に重要になります。
定植初期(1ヶ月くらい)の小さい時期であれば、葉面散布量も100L以内に収めることも十分可能なため、育苗期と同様に定植初期も “低コストで大きな効果” を得ることができます。
弊社では根量を確認しやすくするために、下記のような試験管を使用した試験をおこなっております。
アグリボEXの発根力、発根する様子をご覧ください。
▼ 試験管の並びは左から2本ずつ、液肥500倍、アグリボEX(AGEX) 500倍、無処理
① 播種時
② 緑化前
③ 緑化後
④ 播種後21日
⑤ 播種後29日
⑥ 播種後34日
⑦ 播種後49日
⑧ 播種後61日
これらの画像は、播種からすべて同じ株を撮影しています。
いかがでしょうか?
この発根力を皆様の栽培技術のひとつに組み込んでみては !?
北海道の稲作生産者 :
アグリボEXを育苗で試してみたっけ、なんまら凄ぇ根っこになった。
内地にいる稲作農家の知人に勧めたいんだけど、注意する点ってなんかあるんだべか?
アグリボ相談室 :
使用方法は同じで効果も同様に出ますが、地域によっては目に見える形での発根効果が確認しづらいケースがあるかもしれません。
北海道の稲作生産者 :
えー? なしてさー !?
アグリボ相談室 :
上記試験のように、葉令が進むにつれて発根の差が見えてくるからです。
稚苗育苗をおこなっている地域では、葉齢が3.2〜3.3で田植をしますので、田植え前に明らかな根量の差が見えない可能性があり、「効果がないんじゃないか?」と感じてしまうかもしれません。しかし、決して効果がないわけではありませんのでご安心ください。稚苗の場合は育苗期に限らず、田植後の活着促進などにも効果が期待できますよ。
北海道の稲作生産者 :
わかった〜! そのへんも一言そえて奨めてみるよ !!